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コンプライアンス経営 ~企業と経営者を守るために~

Ⅰ.コンプライアンス経営とは
 近年、企業や組織等において多くの不祥事が相次ぎ、社会の批判を浴びています。そこで「コンプライアンス」という言葉が注目されるようになりました。「コンプライアンス」とは、法令・倫理を遵守するための理念・目標であり、「コンプライアンス経営」は、「遵法経営」と訳されます。
 コンプライアンス経営は、企業をとりまく法律や倫理を守ることだけではありません。ルールの目的や理念を理解し、企業の目的・存在意義に照らして、新しい基準を作るなど自主的に臨機応変に対応していくことが必要です。業界の常識であるが一般的には問題があるような事柄は注意を要します。商工ローンの過酷な取立てや建設業界の談合などは、その業界では当り前のこととして認識されていた面があります。また、企業の不祥事でも、「バレなければ問題無い」といった風潮は、一大企業をも解体させる結果となります。企業は営利目的の組織であり、利益をあげなければ存続できません。しかし、顧客のために有益な商品やサービスを提供する目標を見失えば、組織を維持することはできません。法律に違反しなくても、常に、道義的、倫理的にどうかの観点からも検討する必要があります。企業活動の原点に立ち帰った場合、このコンプライアンス経営は、経営理念の中核に位置づけられるべき考え方です。

Ⅱ.コンプライアンス経営の導入方法
 第一に、基本的な経営方針として、違法なことを回避し、社会的責任をまっとうすべく、企業倫理に配慮することを明確にする(基本方針の決定)。第二に、この経営方針を実践することを会社組織のルールとして明確にする(ルールの明確化・周知徹底)。第三に、コンプライアンス実践のためのトップ直轄の組織体制を設ける(組織体制の整備、再構築)。第四に、この組織体制を動かしながら社内に徹底させ、ルールの見直しを行う(実践・チェック・再検討)ことが必要です。

Ⅲ.コンプライアンス経営の主な留意事項
①公私混同
 経営者の公私混同を無くすこと。また、役人に対するワイロや接待等、公務員の公私混同に働きかけることは、公正な自由競争を歪め、自らの競争力をも弱める結果となります。
②安全・適切かつ十分な説明のある商品提供
 とにかく儲かればよいという考え方をなくすこと。顧客側から見て、代金に見合った商品やサービスを提供できなければ、そのこと自体が顧客の財産を不当に奪うことになります。トラブルの早期処理と原因究明、再発防止に取組むことが重要です。
③不正競争
 様々な規制緩和の一方で、独禁法など不正競争を取り締る法律が強化されています。独禁法違反は、訴訟リスクだけでなく、世論の批判、マーケットの厳しい評価など、様々なトラブルや不利益をもたらします。不正競争防止法や業界の表示に関する公正競争規約などにも注意する必要があります。
④知的財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、 著作権等)
 IT関連事業の伸びの中でソフトの違法コピー等、知的財産権に関する意識が高まっています。知的財産権を取得し、その権利を守るとともに、他社の権利を侵害しないように注意する必要があります。
⑤労使関係
 従業員の基本的人権を守ること。女性・高齢者・外国人等の差別をなくし、適正な人事評価・サービス残業・不当解雇・セクハラ等を排除することが必要です。
⑥税法関連
 脱税は本来支払う必要のない加算税が課されるほか、企業イメージに大きな打撃を与えます。租税倫理の強化、使途不明金の排除、節税と脱税の違い等の認識が必要です。
⑦会社法
 粉飾決算、利益供与、違法配当等、商法違反をしないことは基本中の基本です。
⑧情報管理
 企業情報を迅速的に開示し、経営の透明性を図るとともに、企業秘密の漏えいを防止する必要があります。

Ⅳ.コンプライアンス経営の展望
 コンプライアンス経営は時代の流れです。内部告発を許容する考え方も広がってきています。不祥事を起こす会社は、「起こるべくして起きる体質」のようなものがあり、企業トップの認識の甘さと、担当者の弱さが共通する特徴です。企業と経営者を守るためには、コンプライアンス経営に向けた経営者の自覚と実行力が不可欠となります。

投稿者 hiroyasu : 2005年11月09日 15:29

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