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債権管理のポイント

1.倒産被害の予防策 バブルの崩壊という言葉を耳にして久しいが、近年は景気が上向きになる兆しが見受けられる一方で、企業の倒産は後を絶たない。企業の倒産は、銀行、取引先をはじめ、その会社を取巻く多くの利害関係者に多大な損害をもたらす。債権管理の第一の目的はこのような取引先の倒産による被害を防止することにあるといっても過言ではない。この倒産による被害を防止するにはどうするか。日頃注意しておかなければならないことは、「信用調査の徹底」と「倒産兆候の把握」である。 ①信用調査の徹底 企業の掛け取引は、商慣行の中で当り前のように行われているが、これはその対価に相当する資金を貸出すことと意味は同じである。したがって、取引を行う場合、得意先の支払能力を確かめておくことは当然必要となる。信用調査では、経営の三要素である、ヒト、モノ、カネを的確に把握しなければならない。一般的に、会社の経歴、資本金、財産・損益状況、税務申告状況、取引銀行、主要取引先との取引条件、登記簿謄本、会社の経営方針、社長個人の資産や経営能力、人柄や人格、業界紙の信用情報、信用調査機関のデータ等が利用される。これらの資料や情報から貸倒れの危険性を予測し、与信限度や決済条件、取引保証金、担保権設定の要否等を検討する。ただ、入手される決算書等は粉飾の可能性がある点注意を要する。「企業は人なり」といわれ、経営者の資質や人格は、常に考慮すべき重要なポイントになる。この信用調査は「転ばぬ先の杖」として、債権管理上重要な役割を果たすものである。 ②倒産兆候の把握企業の倒産は、販売不振を原因とするもの、過大な設備投資を原因とするもの、放漫経営を原因とするものなどいくつかのパターンがある。いずれにしても倒産の危険があると、財務指標にはそれなりの結果がでてくる。しかし、財務指標に頼らなくとも、常に気をつけていれば以下のような兆候が現われることが多い。信用不安の噂、社長や経理責任者の不在、経営者の交代、幹部社員の辞職、社員の態度の変化、主要な仕入先や納入先の変更、得意先の再販売先の倒産、親会社・子会社の倒産、多額の返品・クレームの発生、支払期日の長期化、手形のジャンプ、融通手形の割引、メインバンクの変更、不動産の売却、社名変更、減資等。したがって、特に、営業マンは営業活動のなかでこのような情報を入手できるよう細心の注意を払い、そしてその報告が正確に伝達される体制が必要である。2.日々の債権管理債権管理上注意が必要なのは、得意先の倒産だけではない。企業活動のなかで、日々の債権管理は大変重要であり、経営者は常に意識してその管理状況を把握しておく必要がある。そのポイントをいくつかあげてみる。 ①債権管理に対する認識の徹底と販売方針の明確化営業マンは売上をあげることにのみ全力を傾注し、債権管理のことは全く意識していないことがよくある。いくら商品を売っても代金の回収がなければ、企業は倒産する。販売される商品、市場、販売方法、販売価額、代金回収条件といった販売方針を明確にし、与信限度を決め、販売から回収までを念頭においた営業活動を実施していく必要がある。 ②契約書の作成による取引条件の明確化 販売価格や値引・割引・割戻し・返品等の条件、納入・回収条件、検収期間、与信限度額、担保や保証人及び取引保証金の受入れの要否など、販売取引に関する契約書を作成しておく。力関係により、また、業界の慣習により契約書の作成は困難なケースもあるが、事前に取引条件を明確にすることで、取引先とのトラブルによる不良債権の発生を防止できる。 ③各部門の業務・責任範囲の明確化 多額の債権を適切に管理するため、販売取引に関する職務権限を営業・管理・商品・システムといった異なる部門で分割する。つまり、各業務を複数部門で責任関係を明確にした上で分担し、相互にチェックできる等の内部牽制組織が必要である。とりわけ、営業と経理の責任関係は曖昧で、お互い責任転嫁をしやすい関係にあるため注意が必要である。 ④消込み作業自社の債権残高と得意先の債務残高について、検収明細等による消込み作業を毎月行わなければならない。これを怠っていると、消込み未済の債権がどんどん膨らみ、先方との照合ができなくなり不良債権化する恐れがある。 ⑤残高確認得意先に対し定期的に残高確認を実施する。残高確認の結果、差異がある場合は必ずその原因の調査分析を行い、自社の残高が妥当かどうかを確かめる必要がある。場合によっては、毎月請求の都度、確認することもある。 ⑥年齢調べ 債権残高を得意先別・発生月別に一覧表にし、回収の遅れている債権を認識する。毎月、又は2、3か月ごとに作成し、タイムリーな状況把握と原因分析、対策が大切である。 ⑦不正や誤謬の防止 社内において不正や記帳誤り等があると、これが不良債権となる危険がある。監督責任を問われぬためにも、職務分担制度や各担当者のローテーション、長期休暇制度導入等の予防策を確立しておく必要がある。 ⑧返品、クレーム等についての報告返品、クレームによる値引・単価訂正等については適時にこれを報告させる必要がある。迅速、かつ、適切な対応・処理に当たらないと問題の解決が遅れ、不良債権化する恐れがある。 ⑨請求管理売掛代金の請求は、正確、迅速かつ規則的に行うこと。請求書の記載誤り、請求モレ、請求方法の間違い等は会社の信用を損ない、得意先に支払遅延の口実を与える危険がある。 ⑩異常事態への対応策緊急、異常事態に備えて、弁護士への連絡等、債権の保全措置が迅速に実施できる態勢を整備しておく必要がある。3.債権管理の心構え 債権管理は、信用調査から、帳簿記帳に至るまで、企業活動の多岐にわたって関係する。そのため、経営者は、債権管理の重要性を十分認識した上で、全社的な問題として日頃から積極的に取組んでいく必要がある。販売及び回収手続に関して、明確な社内規程やマニュアルを作成し、研修を行い、組織的、効率的な運営のなされる体制が必要である。

投稿者 hiroyasu : 2005年11月09日 15:28

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